
手描京友禅とは、京都の伝統工芸品の1つで、
元禄時代に扇絵師の宮崎友禅斎によって考案された染色。
京都の友禅は柔らかい色調を好み、
何色が基調になっているのか判別しにくいほどの
多彩な色を使っていながら、
配色に神経が使われ上品で華やかです。
京友禅は古風な有職模様や琳派模様など
高度に様式化された文様を得意としています。
また、刺繍や金箔などを効果的に使った装飾を
積極的に併用することもあります。
現在は型染めや友禅を模した模様をプリントしたものも
友禅と言う名称で販売されていることが多いのですが、
手描友禅工房 久利匠で取り扱っている作品は、
すべて本物の手描京友禅の着物です。

仮エバ:仮縫い(注文者のサイズに合わす)
下絵:模様を青花液に含ませた面相筆で線描き
糸目のり置:ゴムのり、もち米、粉のり、筒描き
柄伏:のり伏せ
引染:地色を染める
蒸し:70℃~80℃で約一時間蒸す
水元:柄伏したのりを洗い落とす
友禅彩色:配色して色を挿す
蒸し:70℃~80℃で約一時間蒸す
水元:不純物を取り除く
水洗:ゴム糸目・ゴムのり・余分な染料を洗い落とす
仕上げ:描き染め
湯のし:生地幅を整える
装飾加工:印金・金箔・刺繍・張り
(これらの工程の順番は一定しておりません)
手描京友禅は、上記のような工程を経て、2ヶ月~3ヶ月かけて逸品ものの作品として丁寧に創作されています。
手描友禅工房 久利匠では、500枚以上の自家製の着物を所有しておりますが、ここでは一部をご紹介します。
KIMONO GALLERY
安土桃山時代 幻の染 辻ヶ花文様
辻が花とは絞り染めを基調とした描き絵・摺箔・刺繍などを併用したものです。刺繍や摺箔を施した絢爛豪華な技法は、桃山時代~江戸時代初期に最盛期を迎え、武将の羽織の裏などに用いられました。
しかし、江戸時代中期以降その技術は忽然と消え、近年では「幻の技法」と呼ばれています。




奈良時代 正倉院文様
シルクロードの終着点といわれる正倉院。その宝物は紀元前数千年~数百年の世界的な美術品で、国際色豊かな雰囲気が特徴です。この柄は、正倉院に納められている平螺鈿背八角鏡(へいらでんはいのはっかくきょう)(鏡背を、平たく磨いた螺鈿琥珀などで飾られた宝物)などを基調として創作したものです。




平安時代 源氏物語絵巻文様
京都嵯峨野は源氏物語ゆかりの地として有名です。この柄は、平安時代末期に制作された『源氏物語絵巻』をもとに創作されたもので、当時の優雅さを表現しています。




江戸時代 オガタコウリン 琳派文様
当時の画壇である俵屋宗達、尾形光琳や狩野派などの作品をモチーフにした柄です。


